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【徹底解説!】レコード針の種類と選び方:理想の音に近づく近道

レコードのきほん


レコードの楽しみの1つであり、多くの人が沼にハマる「レコード針」
その小さな針がレコード盤の溝をなぞることで、音楽が私たちの耳に届きます。

針の品質や選び方は、レコードプレーヤーを選ぶのと同じくらい重要です。
この記事では、オーディオメーカーで勤務していた経験を持つ筆者が、レコード針の種類と選び方を徹底的に解説します。


カートリッジとレコード針は同じ?

レコード針の種類を知る前に、まずはレコード針の構造についておさらいしておきましょう。

レコード針について調べていくと、「ヘッドシェル」「カートリッジ」という名前を頻繁に目にします。
「カートリッジ」については、便宜上レコード針と同じ扱いされることもありますが、厳密には違います。

このように、ヘッドシェルにカートリッジが、カートリッジにレコード針が取り付けられているのです。
ヘッドシェルには、針の振動を拾って電気信号に変換する「ピックアップ」という部品が積まれています。

サイズや仕様などの規格があっていれば、それぞれをお好みのものに交換することができます
レコード針だけを交換したいのに、ヘッドシェルごと買ってしまった…ということがないように気をつけましょう。




レコードの仕組みについてさらに詳しく知りたい方はこちら!


レコード針の種類

レコードは繊細な仕組みで音が出ていますので、針を交換するだけで大きく音が変わります
アナログならではの楽しみ方の一つですね。

レコード針の「型」

レコード針を探していると、MM型、VM型、MC型といった言葉も多く見かけるでしょう。
レコード針を検討するときはまずこの「型」を絞って選んでいくことになります。

以下にそれぞれの特徴をまとめました。初心者におすすめなのは「MM型」「VM型」です。

    MM型VM型MC型
クラス初心者向け初心者向け上級者向け
仕組みカートリッジ内に磁石があり、その磁石が振動することで音楽信号を生成するコイルとマグネットの組み合わせによって音楽信号を生成するカートリッジ内にコイルがあり、そのコイルが振動することで音楽信号を生成する
良い点・一般的で扱いやすい
・自分で針交換ができる
・一般的で扱いやすい
・自分で針交換ができる
・MM型より周波数特性が広く、迫力のある音が楽しめる
・音が良い
・カートリッジの選択肢が多い
注意点・出力が極端に低いため、増幅させるためのシステム(昇圧トランス、ヘッドアンプ)が必要
・自分で針交換は原則できず、メーカーに依頼する  
他にもIM型、MP型などメーカーによって呼び方を変えているものも含め多数存在するが、現状はこの3つが主流。


MM型、VM型は一般的な規格で、比較的安価なものが多いため、
初めてレコード針を交換する場合はまずMM型、VM型から選びましょう。

MC型はMM型の1/10程度の出力と言われており、音を増幅させるための専用のシステムが必要です。
音が良いと言われており気になるところですが、MC型はアンプやスピーカーなどのオーディオシステムの組み合わせを一通り楽しんだあとに手を出すことをおすすめします。

参考までに… MC型の再生に必要なシステムって?

「昇圧トランス」「ヘッドアンプ」が必要です。
昇圧トランスの代表機種『フェーズメーション/T-320』は6万円くらい、
ヘッドアンプの代表機種『フィデリックス/LIRICO』は11万円くらいします。

価格面でも少しハードルが高いですね。MC型は玄人向けの選択肢と言えます。



レコード針の「形状」

レコード針の音の個性は、どんな要素で決まるでしょうか?

「バイオリンのように、高い木が使われていると良い音がする。同じ理屈で素材によって決まるのでは?」
と思う方も多いかもしれませんが、実は現在流通しているレコード針のほとんどはダイヤモンド製で、針の素材はあまり大きな要素ではありません。

サファイヤ針は安価な交換針として広く流通していた時期もありましたが、
摩耗が早いため現在ではあまり姿を見なくなりました。
現在も安価なレコードプレーヤーにはサファイヤ針がついていることも多いようです。


それでは何で音が変わるのか?
色々な要素がありますが、その1つに「針の形状」が大きく関わるでしょう。

針の形状は大きく分けて3つあります。
以下に針の形状と特徴をまとめました。

丸針楕円針超楕円針
(ラインコンタクト針) 
概要通常のレコード針
 DJ用も丸針が多い 
溝に深く入り込む
 針先への負担が大きく寿命は短い 
溝との接地面積が広い
摩擦が少なく長寿命
音の特徴低音が力強い高音域が綺麗に出る中高音が綺麗に出る
 全体的に周波数特性が高い 

針の種類は他にも多数ありますが、まずはこの3種類をおさえておけば間違いありません。

レコード針は無限に選択肢があり、初めて針交換する方は悩むかもしれません。
初心者の方へ向けたおすすめの選び方は、
「購入したレコードプレーヤーについていたメーカーの針をグレードアップする」ことです。

レコード針は本当に奥が深く、手持ちのシステムとの「相性」があると言われます。
(筆者は、音に迫力が欲しいと思って少し値の張る針を買ったのに、BGMのような落ち着いた音になってしまった…という失敗をした苦い経験があります。。。)

買ったプレーヤーにオーディオテクニカ製の針がついていたのであれば、付属していた針より上位の交換針を選ぶ、というように同じメーカーで選べば、まずは大きく失敗することはないでしょう。

音の方向性を大きく変えたいのであれば、もちろん別のメーカーの針を検討しても良いですね。



レコード針で有名なブランド

レコード針を販売しているブランドは多くありますが、今回は日本国内で主要とされるブランドを4つ紹介します。
初めてレコード針を交換する方は、このブランドの中から選べば安心でしょう。

???????? Ortofon

オルトフォンはデンマークのオーディオブランドで、1920年創立と老舗メーカーです。
代表機種「2M」シリーズは音の精度が好評。色ごとに様々な価格帯で用意しており、エントリーモデルの「2M RED」は非常に人気です。

オーディオユニオン楽天市場店
¥14,000 (2023/06/06 10:11時点 | 楽天市場調べ)



???????? Audio-Technica

1962年創立の日本のオーディオブランド。レコードだけでなく、イヤホンやヘッドホン、マイクなども製造しており、どの分野においても高い評価を得ています
レコードプレーヤーも安価なモデルから高価格帯まで広く取り揃えており、プレーヤーを購入する際は一度は選択肢に入るブランドではないでしょうか。

「ATN95E」は手に取りやすい価格の交換針としてポピュラーな選択肢です。

ヤマダ電機 楽天市場店
¥6,050 (2023/06/06 10:12時点 | 楽天市場調べ)



???????? Grado

Gradoはアメリカのオーディオブランド。木製のボディや特殊なコイル設計など、独自の技術で定評があります
Gradoはヘッドホンの分野でも有名ですね。個性的な製品が多く、熱烈なファンも多いブランドです。

エディオン 楽天市場店
¥12,983 (2023/06/06 10:13時点 | 楽天市場調べ)


???????? ナガオカ

日本のレコード業界を支えるナガオカ。レコード針だけでなく、レコードに関連するアクセサリー類も広く取り揃えており、ナガオカ製品にお世話になったことのないレコード愛好家はいないと言っても過言ではないでしょう。

代表機種「MP-110」は高いコストパフォーマンスで、幅広いユーザーに支持されています。

DIY FACTORY ONLINE SHOP
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まとめ

レコード針はアナログシステムにとって音を決める大きな要素の1つです。
聞きたい音楽ジャンルによっても選び方が左右されます。

ぜひ、自身が求める音に向き合いながら、レコード針を選んでみてください。
アナログオーディオの楽しみは、追求にあります。理想とする音が出たとき、あなたはアナログの沼により一層深くハマるでしょう。

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